夜人【ヨルヒト】さん

(……誰?)

『夜人さん夜人さん夜人さん』

トキコの疑問に答えるように、携帯の音声が聞こえた。

「……え……」

「どうして……」

何かを言いかけ、夜人が口を閉ざした。

切れ長の目の縁から、真っ赤な涙が流れ落ちる。

あまりにも沈痛な表情が、不気味なはずの光景を一枚絵のような静けさに変えていた。

「何……? 何のこと……?」

状況を忘れ、トキコは思わず問いかけた。