夜人【ヨルヒト】さん

4つある個室のうち、2番目と3番目の扉が閉じている。

二つの扉の鍵は、紐で堅く縛られ、中から開かないようになっていた。

「チサエ! サナ!」

トキコの声に応え、ドアを内側から叩く音が狭いトイレに響く。

「トキコ! よかった~」

「助かった~来てくれなかったらどうしようかと……」

「もう超怖かったよ! 一瞬見捨てようかと思ったもん」

「えートキコひどい!」

ドア越しに、安堵の笑い声が漏れた。

トキコはドアを封じるナイロン紐に手をかけた。

堅く縛られた紐は、手で引くぐらいではびくともしない。