瓶からこぼれた水滴が、見開かれたサナミの眼球に落ちた。

「ア……ッアアアァツ……!!」

焼けつく激痛に、サナミの表情が歪む。

切れ切れに漏らした悲鳴に呼吸を奪われ、顔面が鮮紅色に染まった。

次々と水滴が降り注ぎ、サナミの皮膚に紅くただれた穴をあけていく。

「…………!!」

悲鳴にならない悲鳴が、理科室に広がった。

「私は苦しんだ。死ぬほど苦しんだ」

エミカが呟く。その顔に、笑いはなかった。

「だからお前も死ぬほど苦しめ」

サナミの開いた口に、硫酸が流れ込む。

酸が肉を焼く臭気が、サナミから立ち上った。