入り口の方から声がした。 私は教室に1人でいたはず… ビクビクしながら声のする方を見ると、藤宮くんが壁にもたれて立っていた。 (なんで…いるの?) 「椅子使うって頭はなかったの?」 「…え、あ。 いや、なかった訳ではないけど… 椅子使うと汚れちゃうかなって思って。」 「あぁ…そう来るか。笑 汚れちゃう方が、家に帰れないよりまだましでしょ。 それに汚れたら後で拭けばいいし。 今日は俺が消しとくよ。貸して?」 藤宮くんはスっと私の手から黒板消しを取って、全部消してくれた。