家族以外の人に頭を撫でられたことなんて今まで1度もなくてびっくりしたけど、あまりにも優しく撫でるから涙腺が緩みそうだった。
でも龍矢くんを巻き込みたくなかった。
だって昨日仲良くなったばっかりの人で、今私が逃げて来た理由だって少なからず龍矢くんも絡んでいるから。
このタイミングで泣くなんて、なんか卑怯な気がした。
「ありがと龍矢くん。
すっかり慰めてもらっちゃって…
私は大丈夫だから。教室戻ろ?」
龍矢くんには通用しないのかもしれないけど、改めて作り笑いをする。
こうしていなきゃ涙が出てきてしまうから…
すると龍矢くんは、いきなり私を抱きしめた。
抱きしめたと言っても、まるで割れ物を扱うように優しく包み込むような感じ。
あまりに突然の出来事で声も出ない。
「…作り笑いなんてすんなよ。
辛い時くらい泣けばいいだろ?」
少しかすれた声で私の耳元で囁いた。

