ヤンデレ兄弟と同居しているが、もう限界。

古い本特有のツンとした香りと、少々埃っぽい臭いが漂う倉庫にて。

私は持参した椅子にもたれかかり、一心不乱に本を貪っていた。


ふと視線を上げるとたった一つの窓から赤々とした夕日が覗いていて、もうこんな時間かと栞を挟む。

もう戻ろうかと思った時、タイミング良くドアがぎいと音を立てて開いた。




「向日葵ー、夕飯だよーっ」
「ありがとう。もう行くよ」




ドアの隙間から顔を覗かせる棗はにこりと笑う。




あれから、何もなかった。




棗も楓さんも普通で、何ら変わりない。もしかしたらあの日見た二人は気の所為だったのかも。

二週間も時が経てばそう思わざるを得なくなった。真実であれ偽であれ、あまり深入りしないのが賢い選択だろう。




「んー?向日葵、ぼーっとしてどうしたの?」
「あっ、いや、明日の事考えてたら、気が飛んじゃったみたい」
「ああ、明日かぁ。すっごく楽しみだよね!」




明日の事なんて全く考えていなかったけど、自然と口から嘘が零れた。棗の嬉しそうな笑顔を見て、少し胸がチクリとする。




いやそんな暗い事考えなくていい。明日の事を考えよう。

私たち――私と、何故か棗と楓も――は明日、生徒会のメンバーと親睦会改め、『ひーちゃんのお洋服を買いに行きたいから出かけましょ!』会で、ショッピングモールに行く。