私よりも少し大きな背中を追って、その家――赤いレンガと咲き誇る花々のコントラストが見事だった――に入るとまず、綺麗なフレームに入った母とお姉さんの写真が出迎えた。

写真の中で笑う二人に、胸が少しちくりとする。




「ここが、リビングよ」




靴を脱ぎ、お姉さんが優雅に開けてくれたドアを開けると、広いリビングに出た。

シンプルだが質の良さそうな家具や、棚などに置かれているアンティーク調の小物を見るだけでも、お姉さんのセンスの良さが窺える。




「とりあえず座ってちょうだい」
「ありがとうございます」




お姉さんと向かい合うようにして茶色い革張りのソファに座ると、体がふわりと沈んだ。

冷たい革の質感を肌で感じながら、静かに息を吸う。



ここが、私の家になるんだ…。



未だに実感が湧かない。それよりもまだ、母が死んだ、というのも悪い夢なんじゃないかと思っている。



そんなはず、ないのだけれど。