ヤンデレ兄弟と同居しているが、もう限界。

楓さんは訝しそうな顔をしたが、何度か私と散らばるプリントを交互に見て、はぁ、とため息をついた。ため息の意味はわからなかったが、無性に申し訳なくなった。




「拾うぞ」
「……あぁ、プリントね。わかったよ」
「ありがとう」
「俺はこれ以上詮索しないが、気をつけろ。特にうりは」
「私?」




顔も上げずに楓さんは頷く。その言葉に妙なモノを感じて、手を止めた。「生徒会に入ったんだろう?」苦虫を噛み潰したような顔だ。美麗な眉が、ハの字に歪む。




「入ったけど、どうして?」
「生徒会長の篠山 梓、あいつは危険だ。あんな口調のクセに女たらしだから、ぼさっとしてたらお前なんかすぐに喰われちまう」
「喰われるなんて、そんな……」
「誇張じゃねぇぞ」




実際、何人も喰われてるしな。
底のない真っ黒な目に、私が映る。まるで感情のない声に、別種の寒気に襲われた。ちょっと待って、二人ともなんだか違う。何かが、違う。










私がその違和感の正体に気づくのは、数ヶ月。

何もかもが手遅れになってしまった、冬のある日の事だ。