ヤンデレ兄弟と同居しているが、もう限界。

「霊仙 向日葵です。よろしくお願いいたします……」




深く頭を下げる。梓さんーー篠山さんだと花子さんと被ってしまうので、そう呼ばせてもらうーーはうふふふと笑いを湛えた表情を見せた。


梓さんは女言葉なのに、顔は棗たちと負けず劣らず美形でズルい。ズルすぎる。長く綺麗な黒髪を無造作に束ねているところとか、ちらりと見える白いうなじとか、程よくついた筋肉とか、どれをとっても色っぽくて素敵。

きっと喋り方が普通なら、少女マンガ厨の血が騒ぎ立てていただろう。



普通じゃ、ないからなぁ……




「それにしても今年の書記は一人なのね。去年は三人もいたのに」
「あぁ、候補が出なかったらしいわよ。そんな中一人だけ候補が出て、ひーちゃんの担任もさぞ鼻が高いでしょうねえ」
「ひ、ひーちゃん?」
「私がつけたあだ名よ。可愛いでしょ?」




よし、もう何もツッコまないようにしよう。ひーちゃんという脱力したあだ名を聞いた瞬間、そう決意した。

アレだ、考えるな感じろ精神がこの人と接するにはちょうどいいのかもしれない。