初恋さよなら

ジリリリリッ

「・・・んー。まだ眠いよ。」
目覚まし時計が鳴り響く。
「あ、杏奈ー!おはよ!」
ニコッと笑いながら、声をかけてくれるのは、絢香。
「おはよー。・・・今日は入学式?」
「そ〜そ〜!もうすぐバス、来ちゃうかも!!」
「うそ!!」
私はガバッと布団から飛び起きた。

ここは、学校の寮。
絢香は、寮で同じ部屋で仲良くなったんだ。
私が、ここの学校に決めた理由は2つある。
1つ目は、市内の学校のいじめグループからまたいじめられるのが嫌だったから。
2つ目は、家族・・・いや、あの人たちと一緒に暮らすのが嫌だから。
家は、お父さん、お母さんが中心じゃなくて、お兄ちゃん中心。お兄ちゃんの言うことは絶対。だから、お母さんもお父さんも、お兄ちゃんの言いなりになってる。
王様と、召使いみたいに。
私は、家族として認められてない。奴隷のように扱われる。・・・いや、奴隷なんてもんじゃない。
ストレス発散のための道具みたいなもの。だから、「娘」としても、「妹」としても、「人」としても見られていない。
「杏奈?大丈夫?顔色悪いよ?」
絢香が私の顔をのぞき込む。
絢香がここの学校に来た理由は、家族のためらしい。
理由は良く分からないけど、そう言ってた。
「ありがとう!・・・って、遅刻する!!」
私は、急いで制服に着替えた。