初恋さよなら


「あんたなんて、生まれてこなければよかったのにね。ホント、かわいそうな奴!」
「ま、仕方ないじゃん?あ。お前さ、両親にも嫌われてるんだっけ??」
「マジ?!何それ!傑作じゃん!!ウケる〜」

ギャハハっと響く笑い声。私を見て笑う皆。このことは、いつものことだから。もう慣れてる。

・・・きっと、誰も私を助けない。
両親さえも助けてくれない。
こうなってしまったのは・・・誰のせいなの??
・・・お兄ちゃん?
勉強も運動も、賞に入るぐらい。優秀なお兄ちゃんのせい?お母さんもお父さんも。お兄ちゃんがお気に入り。

・・・違う?
うん。違う。それは生まれてきた私のせい・・・。

ダッ

「あ!待て!!クソっ。逃がすか!」

もう嫌。慣れてる?慣れてる。だけど・・・だけど!!

もう限界。耐えられない!!

ガシャン・・・

誰もいない屋上。フェンスに手をかける。・・・これが私の最後。

・・・翔太?聞こえる?私。紺野杏奈。
もう、私を助けなくてもいいんだよ?
・・・ありがとう。今まで。本当に嬉しかった・・・!!

さよなら・・・

私の初恋も。

フェンスを乗り越えて、足を下ろす。
誰も助けになんか・・・

「杏奈っ!待てよ!!」

聞き覚えのあるこの声。絶対に間違えない。・・・だってこの声は!!

「翔太・・・!!」

ガシッと、腕を掴まれた。
「バカ!何やってんだよ!!そんなところにいたら死ぬぞ!!」
「・・・いいの!私なんか必要ない!!いらないの。・・・誰からも必要とされない。こんな自分なんていらないんだからぁぁ!!」
「バカ言え!!」

フッと、優しく抱きしめられる。
「・・・もう自分を責めるのは辞めろよ。お前は・・・。俺の大切な人なんだから。
幼馴染みなんだからよ。」
幼馴染み・・・ただの?幼馴染みだから助けたの・・・。
・・・そうだよね。
わかってるよ。
イライラする。そんなこという翔太に。だけど・・・。
こんなにも嬉しいのはなんでなの?
「もうお前を泣かせない。俺が守ってやるよ。」

「う、うぅ・・・わぁぁ!」
大泣きした。翔太・・・!!

私の暗い世界に、光が見えた。