女は正社員でしたけれども、
男はアルバイトでした。
もっとも、
男は我慢のできない男でしたから、
1ヶ月もしないうちに辞めてしまいましたが。
その1ヶ月の間に、
男と女は恋仲になりました。
2人とも、容姿の非常に美しい人です。
正直に言ってしまうと、
自分よりも美しい人に、
彼らは出会ったことがありませんでした。
男は、
その容姿を鼻にかけ、
その容姿の美しさだけで
今まで生きてきたような人でした。
女は、
おごることこそありませんでしたが、
自分はこの世で最上級に美しいだろう
ということは、
心のどこかで自覚していました。
そんな彼らが、
初めて、
自分よりも美しいと思る人に出会えたときの、
その衝撃といったら
どれほどのものだったでしょうか。
普通の者には想像すらできません。
ただ、
きっと
雷が落ちたような驚きをもって、
彼らは恋に落ちました。
