君の音

「一応練習はしてるんですけど、、」

受験が終わってからというもの
私はギターを片手に練習していた。

私の希望はギターボーカル。
ギターとボーカル2つなのでなかなか大変らしい。

「ふぅーん。じゃあテストのときにお前の音聞くの楽しみだな」

「あ、あんまり期待しないで下さい!」

すると先輩は何かに気づいたように
口元に不敵な笑みをうかべる。

な、なに!?

すると先輩の長い指が近づいてきて
そっと髪に触れた。

そしてそのまま私の耳元まで自分の顔をもっていき囁いた。

「そんな真っ赤な顔で言われたら苛めたくなっちゃうな」

「…っ!!」

きっと私の顔は今ゆでだこ状態。

私はばっと先輩から離れると
先輩をジト目で睨んだ。

「彼女さんに言いますよ」

「ご、ごめんなさいっ!!」

先輩はさっきとは打って変わって
あわあわと慌てはじめた。

本当に彼女さんのこと好きだなあ、
この人は。

ズキリ。
胸がちくちくと痛む

…ばかだなあ、私。

傷つく資格なんて私にはないのに…

ーキーンコーンカーンコーン

学校の予鈴がなる。

「お。予鈴だ、じゃあまたな!」

「はい。また」

先輩は最後にニコッと笑うと
自分の教室へ戻っていった。

私も…教室行こう、。