美味しそうな匂いで、目が覚めた。
「…あれ」
私が握っているそれは、
…燐ちゃんが着ていたカーディガン。
「あ、起きた」
顔をあげると、シャツ姿の燐ちゃん。
もう寒くなってきたころなのに。
…優しすぎるよ、燐ちゃん。
「カーディガン、ありがとう」
「くしゃみして、凄い顔しかめてたからね」
「えっ」
恥ずかしくなって匂いのもとを探す。
「あっ、美味しそう!」
きれいに飾られたチーズケーキ。
食べてないのに、もう満足してしまう。
「カメラカメラ…って、あれ」
寝るとき、握ってたのに。
「落ちそうだったから、とっておいたよ」
燐ちゃんが渡してくれる。
「…みた?」
「見たかったけど」
「はあ」
この中には燐ちゃんがいっぱいいる。
見られたら恥ずかしい。
「…よし、とれた。
じゃあ、いただきます」
「いただいてください」

