「文化祭かあ」
「無難にカフェでいいんじゃない」
そろそろ文化祭の季節。
燐ちゃんと二人でのんびりと過ごす私にとっても、もちろんやって来るもので。
「燐ちゃん、こういうところでまた人気になるんだろうなあ」
「ねえ、ずっと思ってたんだけどさ」
ぼそっとため息混じりに呟くと、前からなっちゃんの低い声が聞こえてきた。
……いつもより、声のトーンが低いからそう聞こえるだけで。
「あんた、先輩のこと好きなの?」
とんでもない爆弾を落としていった。
「す、好き!?」
「そう、好き!ラブだよラブ!そういう気持ちないの?」
「ないのっていわれても、燐ちゃんは燐ちゃんだし…」
「まだまだだね」
はあっとため息。
呆れた目で見ないでなっちゃん。
……今まで考えたことなかった。
恋したのは中学で一回くらい。
そんな経験もない私は、燐ちゃんの気持ちがなんなのかよくわからない。
燐ちゃんはフルーツタルトのときに、嫉妬した、と言ってくれた。
私だって嫉妬する。
例えば、燐ちゃんがきれいなお姉さんと笑いあっていたり。
同じクラスの子が、『本郷先輩かっこいい』とか言ってたり。
それはなんだろう。
恋の嫉妬?
それとも、大事なお兄ちゃんって意味の嫉妬?