放課後のレシピ。




「やっぱり」


「なんで?なにか入れたの?」


「僕のダメなところが入っちゃったから」



燐ちゃんのダメなとこ?


そんな、むしろ教えてほしいくらいだよ。



「今日は本当にごめん」


私のとなりに椅子を持ってきて座った燐ちゃん。


頭を垂れて、俯いた。



「う、ううん。私が悪かったから」



「違うんだ、違う」




顔をあげた燐ちゃんの顔は、なぜだか泣きそうな笑顔だった。




「千世ちゃんは僕を大人だっていって、近づきたいって思ってくれたけど、」



息を吐いてポツリと燐ちゃんは呟く。




「全然違う。

こんなアホらしい嫉妬じゃ、美味しいケーキも作れないよね」





……嫉妬?





「千世ちゃんが僕のために写真部に入ってくれた。それだけで凄く僕は嬉しかったんだ。

でも、千世ちゃんのカメラ越しにあの男の子が写ってるって思ったら…

本当にごめん、そんな関係でもないのに。冷たくしちゃってごめん」





何度も何度も謝る燐ちゃん。



それにつられて、なぜだろう、タルトもだんだん苦くなってくる。





「違うよ燐ちゃん、私が聞きたいのは……」






ごめんじゃなくて、





そんな距離が遠いものじゃなくて、