そう思っても、燐ちゃんは曖昧な笑みを浮かべるだけ。 「…千世ちゃん、お願い。 フルーツタルト食べて」 テーブルの上を見ると、きれいに盛られたフルーツタルト。 …早く、早く早く燐ちゃんのケーキが食べたい。 燐ちゃんの味に包まれたい。 「…今日のは僕の味じゃないかも」 苦笑して言った燐ちゃん。 燐ちゃんの味じゃない? どういう意味? 疑問に思いながらも、口に入れてみる。 「……美味しいけど、」 違う。 なぜだか、苦い味がする。