「千世ちゃん、泣かないで」



「どうすればもっと燐ちゃんに近づけるのかがわからない」



「…え?」



「燐ちゃんともっと仲良くなりたい、燐ちゃんのお菓子もっと食べたい、燐ちゃんみたいに大人になりたい」





きょとん、とした燐ちゃん。




すぐに俯いて私の手をぎゅっと握った。





「ずっとそんなこと思ってたの?」


「今日思ったの、休み時間にあったとき、燐ちゃんが遠く感じた。

……燐ちゃんの特別になるには、もっと大人にならなきゃダメだって思った」




また握る力が強くなった。



ゴツゴツした、努力の証。



私よりも大きく固い手が、優しく包む。





「僕も、千世ちゃんに似合う男になりたい」



「え、なんで…」



「僕だって、千世ちゃんの特別になりたいよ」






もうなってるよ。



出会ったときからなってるよ。






「僕のお菓子を食べてくれるのは、千世ちゃんだけ」