マフラーしてくればよかった。


そう思いながら、藍色の空を見上げると何か白いものが降ってきた。



「雪だな」



後ろから聞こえた声を振り返ると、さっきの私と同じように空を見上げる姿。



「遅いよ」



ほんとはそんなに待ってないんだけど。



「これ、買ってた」



何?と尋ねる暇もなく、コートのポケットに突っ込んでいた手を出されて、何かを乗せられた。


缶のホットココアだった。
手のひらに、じんわりと温かさが広がる。



「なにこれ」


「逆チョコ」