校門をくぐって、校舎に近づく。
中学とは全く雰囲気の違う校舎を見て、心音はどんどん早まっていく。
やばい。
ドキドキしすぎて、心臓が痛くなってきた。
セーラー服のリボンをギュッと掴んで。
「ハル…」
思わず、ハルに訴えかけた。
「泣きそうな顔すんなって」
「え!?」
ハル、余裕なの?
一番、あたしの気持ちを理解してくれそうだって思っていたのに?!
こんなにドキドキしてるの
もしかして……あたしだけ?!
「俺の方がミサよりも頭悪いんだから……やばいのは、俺だろ?」
そう言った後、はぁと大きくため息をついたハル。
やっぱりハルもマイナス思考だったのね。
不安だよね。わかるよ、その気持ち
ホッと息を漏らしたその時
「大丈夫だろ? あんなに勉強したんだから」
右側の頭一つ分高い場所から低い声が落ちてきた。
あたしはそちらを見上げて……
「そりゃ、ユキはあたしとハルと違って、賢いから……」
「そっか? 春樹はともかく、美沙と俺はそんなに変わらないだろ?」
「ハルは、まぁ……あれだけど。ユキとあたしは、全然違うよ!」
「なぁ。お前ら。俺の悪口、堂々と言うなよ」
「え!? 悪口なんかじゃない! ほんとの事言ってるだけ!」
「おいっ、ミサッ」
「ほら。言い合ってないで、先行くぞ」
「うんっ!」
「なんだよそれ!ミサ、雪也、待てよ!」
先に歩き出したユキの後を追うように、あたしとハルは止まっていた足を動かせた。
