終わらないMelody【短編】

音楽室のある新校舎は、昼休み中のため、人の姿が全く見えなかった。

そんな物静かな廊下を歩いていく。




……♪〜…♪…♪〜…


「え…?」


不意に、聞こえた音楽。

確実に音楽室からだ。

でも、昼休みに音楽室を使ってる生徒なんて、到底いない。

ていうか、鍵が掛かってたはずなのに。


「おっかしいな…」

あたしは、音楽室に向かう脚を、無意識に速めていた。





――ピアノの音だ。

あたしは音楽室に近づくにつれ、その音源を突き止めていた。


こんなにピアノが上手い人、うちの部員で、いただろうか?

全く心当たりがない。

部活では、ピアノなんてやらないから、ピアノを習ってる人しかこんな綺麗な音は、奏でられない。

じゃあ誰よ――…。



そんな事を考えてるうちに、あたしは音楽室の目の前に来ていた。


流れるような美しい音色。

なのに、何処か力強くて。

あたしは自然と、扉まで吸い寄せられていた。



「―…え…?」