.*・゚ .゚・*.凛花side

朝起きると、結々からいつものようにメールが来ていた。

[今日もいつものとこだよね?]

あー、忘れてた。今日はあいつと行く。とか言ってなかった。

[ごめん。今日は友野と行く約束してるから。]

私はすぐに結々に返信し、支度を済ませた。

そして、スマホを充電器から取りしたへ降りる。

リビングからはいい匂いが漂っていた。
私は笑顔を貼り付けてリビングの戸を開ける。

「お母さんおはよっ!!」
「おはよう。ご飯準備してあるから食べなさいね。じゃあ行ってくるわ。」
「行ってらっしゃい!」

お母さんはすぐに出て行ってしまった。
いつもそう。私を育てるために一人で働いている。お父さんなんてこの家にはいない。

私は椅子に腰をかけて用意されていた朝ごはんに手をつけた。
その時、ピピッという音と共にスマホの画面が色づく。

[結々]

と表示されていた。

めんどくさい。そう思った為スルー。

私は朝ごはんを食べ進めていき、器をからにして、軽く洗う。


ふと時間を見ると7時58分。

8時まで後少し。

ローファーに足を入れて外に出る準備をする。

スマホを見ると、ちょうど8時。

でも、アイツは来る気配なんてない。

まぁ。こんなもんか。男なんて。

「行ってきます。」

誰もいない家に呟いて外に出る。

「あ、来た!ちょうど8時に出るのな?」

表札の前に立っていたのは、私が待ってたアイツ。友野。
友野は「あちーなぁ。」と呟いて服をパタパタさせる。
額には汗が流れている。

「えっと...待っていたの?」
「おう。インターホン遠いし、それに鳴らしていいかわかんなかったし。」
「いつから?」
「7時半くらいからかな。」

なに。友野って馬鹿?
確かに、表札からインターホンは距離がある。けど、鳴らしても構わなかったのだけど。

「ごめんなさい。気付かないで。」
「ぜーんぜん!凛花と登校できるだけで幸せだし。」

友野はへらへらと笑う。

「暑かったでしょ。」

少し背伸びをして友野の額の汗をハンカチで拭く。

「え?」
「汗かいてる。それに待たせてたし。」
「あ、さんきゅっ!」
「いえ。」

拭き終わって、手を引っ込めると友野が手を差し出してくる。

「なに?」
「もう行かねーと遅れるよ?」

それはわかる。わかるのだけれど手はいらないだろう。

「なんで手?」
「繋ぐため。」
「は?」
「繋ごうよ。ね?」
「嫌。」

私はキッパリ断った。けど、友野は手を絡めてくる。
普通の繋ぎ方ではなくて恋人繋ぎ。

離そうとするけど、友野の指一つ一つが絡んできて離せない。

ま。今日だけなら。
そんな思いが浮かぶ。

「...手。繋ぐから早く行こ。」
「うん。あー、俺、今幸せ。」

隣で呟く友野は本当に幸せそうだった。