.。*゚+.*.。・:+°凛花side

結々とは違うクラスなので廊下の途中で別れた。

「じゃ、帰りねーっ?」
「はいはい。」

適当に返事をして後ろにひらひらと手を振る。


教室に着いて席に座るとなんだか悪寒がした。

「なんか...嫌な予感。」

隣が...。友野が。なんだか。来そうな。そんな感じの。

まぁ、でもあいつは来ないし。大丈夫だと思うけど。

そう思いながら隣の席を見つめていると、急に隣の椅子がひかれた。

「俺の席を見つめてどーしたの?凜花ちゃん♪」

この声。聞いたことある。
そして、いつの間にか女子が騒いでる。

「まさか。」

見上げるとそこには笑みを浮かべた友野が居た。

「はじめましてー!だよね?俺、友野大雅!」
「知ってます。」
「それは嬉しい!あ、大雅って呼んで?俺も凜花って呼ぶから。」

私の方を見ながら椅子に腰をかける友野。
誰が下の名前で呼ぶか。

「やめてください。赤崎と呼んでくれたら幸いです。」
「ぅえー?なら、1回!1回だけ大雅って呼んでよ!」
「嫌です。」
「なーら、俺も嫌。」

友野はそう言うと無理に手を握ってきた。

「よーろしくね?凜花。俺明日から来るから。」
「迷惑。」
「迷惑?嬉しいじゃなくて?」
「嬉しい?ふざけないでください。」

私は友野の手を払うと席を立った。

こんな奴がなんで隣にっ。
私がそう思っていると、急に腰に腕が巻き付いてきた。

「やっぱ、凜花面白いっ!ねぇ、付き合ってよ。」
「お断りします。」
「ん?拒否権あるって誰が言ったの?」
「誰も言ってませんが。拒否権ぐらい私にあります。」
「だから、なしだって。」

私は、とにかく20cmくらい上の顔を睨む。

「ひどーいなぁ。俺のお誘いを断るなんてー。」
「うるさいです。話してください。」
「付き合うって言うまで離さない」

語尾にハートが付くんじゃないかと思うくらいムカつく言い方。

「はいはい。付き合いますから離れてください。」
「お!ほんと?やった!」

友野はすぐに離れたけど、またすぐに肩を掴んで、友野がくっついてからずっと私を見て睨んでくる女子含め、興味津々に見てくる人達に大声で叫んだ。

「今日から、俺たち付き合うから!女の子たちごめんね?これからはデートできないやっ!」

すごく爽やかな笑みを浮かべて。

それを聞いて、
女子から「きゃーーっ!!」やら「たいがぁ。なんでそんな子とぉ。」なんて悲鳴が聞こえてくる。





本当は男なんて嫌いだ。

また、蘇る記憶。

でも私は無表情を作る。


私に、感情を表に出していい資格なんてないのだから。