「きゃー!!!」
「今日もかっこいい!!」

夏の日差しがジリジリと照りつける中女子の大群が高い声で叫ぶ。

「朝からうるさいですね。校門くらい通させてほしいものです。」

それにイラつきを覚えて小さく呟く私。
赤崎凜花。15歳。

「まぁまぁ。」

それをなだめる私の親友。
松田結々。16歳。
くりっと大きい目が特徴的で、性格、顔、スタイル、学力どれをとってもトップクラス。
それと唯一、意見の合う人。

でも、1つだけ意見が違った。

それは、うるさい女子の大群に囲まれているあの、イケているメンズ訳してイケメンに分類される人物達について。

1人は、友野大雅。
成績トップ、顔も良し、スタイル良し。
と言った女子が男へ求める全てのものを偶然、手にして生まれてしまった奴。

高身長に、程よく筋肉がついた腕。
左耳にピアス3つ。髪は茶髪で前髪が長め。きっちりセットされていない髪は、寝癖が所々ついている。
それに、少し焼けた肌、猫のようにつり上がった目。

「俺とデートしたい人っ!あ、まだしたことない人ね?」

それが口癖かと言うぐらい毎日聞く。
まさにプレイボーイ。

もう1人も同じようなもの。
坂川颯。
こいつも、成績、顔、スタイル良し。という奴。
右耳にピアスを2つ。
見事に真っ黒な髪は、毛先がくるんと中や外側に跳ねていて、白い肌を目立たせる。
その白い肌に並ぶ、甘ったるく垂れ下がったタレ目に少し厚みがある唇。

そして、声までいい。
息を吐くように放たれる言葉は女子のハートを一発で射抜く。

...私以外の。

吐息混じりの低音ボイスがスゴイだとか。

こいつもプレイボーイだと私は思う。

女子が誘えば容易く「いいよ」なんて言って。

今だって、そいつの腕には女子の細い腕が巻き付いている。

「ねーえ。そうー。今日は私と遊ぼう?」
「ああ。」

ほら、すぐにオッケイした。
こいつらの事を結々は「かっこいい!惚れた!」とか言う。
結々がいつかここの大群に入りませんように。

それにしても。邪魔だな。

私は女子たちを掻き分けてその大群から抜ける。

「あっつー!!」

結々は夏服のシャツを2番目まで外して手で仰いでいる。

「あんなに集まっていると暑苦しい。」
「とか言ってー!凜花全く汗かいてないじゃない!」

私を軽く睨んでぷうと頬を膨らませる結々はとても可愛くて、男たちの視線を集める。

「汗をかいていなくても、私は暑苦しいと思う。」

私は結々に言葉を返すとスタスタと歩いていく。

「待ってよーっ!凜花ぁ!」

親友の声を背中に受けながら。