人間不信な私とチャラ男

パンパン、と手を叩いて注目を集めた先生。

「今日は編入生がいる。入ってきなさい」

こんな時期に編入生??1週間前に入学式があったのに??どうして?

ガラッッ

入ってきた女子を見て、周りの男子は「うお」などと歓声をあげた。かく言う私はというと完璧に落胆していた・・・というか絶句していた。なんだろう、このデジャブ感・・・。

「初めまして、こんにちは!舞原 天音です!!あっ、佳蓮~~!!追っかけてきちゃった☆」

嘘でしょ・・・?なんで天音が、ここに・・・?

「菊本、知り合いか?」

先生の質問に答えるのに、多分コンマ1秒もかかっていなかっただろう。

「イイエ、シリマセン」

なんで!?追っかけって・・・!天音は確かに美術部だったけど・・・!でも、知ってて・・・!?

「知り合いです☆おんなじ中学出身ですもん」

「じゃあ、仲良くしてやれよ。席は菊本の隣でいいな」

「はいっ」

よくない!!よくないよ!?

「久しぶり~、佳蓮!」

「・・・・・・・・・」

「ここでも演劇部入ってるの?」

「・・・・・・・・・」

「どうかした?」

「天音・・・。あんた、追っかけって・・・」

「うん!!大好きな佳蓮の大好きな演技を見に編入してきたんだ!」

やっぱり知らないんだ・・・。あの、卒業記念の華やかな舞台の裏にあるアレを・・・。

「うん・・・ありがと。でも・・・」

「こらこら。思い出話なら休み時間に。授業始まるぞ」

先生・・・。中断、邪魔ばっかですね…。

そうして授業なんて聞きもせずに、天音に伝えること、飛鳥に言うこと、忘れてたけど部長のことを考えていた。

「~~が~~で~~~~~であるから、~~~~~~だ。次は~~~~~~」

何気なく黒板の上にある時計を見ると11:55。もうそんな時間なんだ、としばらくぼーっとしていたら・・・

「~~~はどうなるんでしょう?では・・・菊本さん」

と、数学の女教師(通称:厚化粧ばあ)に指されてしまった。

「は・・・?」

話なんて微塵も聞かずに考え事していた私は、聞かれている内容も、今どこを学習しているのかさえ分かるわけがなかった。

「はぁ・・・たるんでますね。代わりに・・・では舞原さん」

「うぇ!?は、はい・・・??」

どうやら天音も聞いていなかったらしい。ていうか、ラクガキして遊んでたっぽい。

「はぁぁぁぁぁぁ。2人とも立っていなさい」

ものすごい溜息(どんな肺活量だよレベル)を吐いて起立を強制された。

「~~~~~が~~~~で・・・・・・・」

立たされた後でも話は耳に入ってこず、結局授業終了のチャイムが鳴るまで立ちっぱなしだった。

キーンコーン

がやがや・・・

お昼休みに入ったことで、一気にうるさくなった。

「佳蓮、どうしたの?調子、悪い・・・?」

屋上にご飯を食べに行く途中、彩が心配そうに顔を覗き込んできた。

「ううん、平気」

「さっきの・・・舞原さん関係?」

飛鳥・・・お見通しってこと?

「うん、まぁね」

それだけじゃないけど。

「佳蓮~~~~~!!!!!一緒にご飯食べよっっ??」

まるで中学時代に戻ったようだ。いつものように天音と屋上でお弁当。習慣になってたから高校に入ってからも彩と屋上で食べていた。なんて考えていたら昔の思い出が頭の中でくるくる回って、私は何も言えなくて。その代わり・・・。

「ちょっと、舞原さん。佳蓮、今は気分悪いから」

「え!?そうなの、大丈夫?」

彩と飛鳥の後ろで色が飛んだ景色をぼけっと見ていた。ある言葉が聞こえてくるまで。

「佳蓮ちゃ~ん!どこ~?一緒にお弁当食べよう~~!」

人目もはばからず、私の名前を呼び続ける馬鹿が来た。

「げっ、部長!彩、飛鳥・・天音!とりあえず屋上だよ!!」

3人を引っ張って屋上までダッシュ。でも部長にバレた。

「待って~~!佳蓮ちゃん!話聞いて!!」

そんなこと言われても止まれない。どうせ好きとか、からかうんでしょ?

ばたんっ

屋上に来て、まず扉を閉めて鍵をかけた。これで誰も入ってこれない。

「はぁぁ・・・びっくりした・・・!あれ、島崎部長じゃないの?佳蓮、仲良かったよね?」

「今は違う。私は演劇が嫌いなの。3人には話しておかないといけないから・・・」

真剣な眼差しで3人を見つめる。

「それって・・・」

「そう。過去の話。彩、聞いてくれる?」

「・・・待ってた。話して」

飛鳥はぽかんとしていた。そりゃ分からないでしょうけど・・・口は閉じた方がいいかな。

「これは、私の大っ嫌いな話。1人の演劇少女のお話」

そう言って私は話し始めた。私の・・・鳳凰中学3年生演劇部部長、菊本 佳蓮の話を。