...そんなんじゃない。
恐れてなんか、ない。
でも、何も言えないのは事実。
何か言わないとダメだ。
彼女たちに何かを言おうとする。
「あ、あたしは...」
でも染みついた恐怖はそう簡単には消えてくれない。
口に出そうとしても ソレは喉に引っかかって言葉にならない。
グッと唇を強くかんで あたしはまた俯いた。
その時
今まで黙っていた取り巻きのもう一人が何の感情も入っていない声と顔で あたしを恐怖へと突き落とした。
「ねぇ、ここから飛び降りるの、手伝ってあげましょうか?」
そう言って腕をあたしへと近づけてくる。
その後ろで 女たちは笑っている。
あたしは少し押されたら落ちてしまう場所に立っている。
もうダメだ。
あたしの人生ここで終わるのか。
...案外つまんない人生だったな。
こんなんだったらもっと自由に生きればよかった。
後悔がたくさん押し寄せてくる。
今さら遅いか。
その時 脳裏に浮かんだのはついさっきまで話していたアイツの顔。
アイツ、あたしが今死ぬって分かってたのかな?
それなら何で教えてくれなかったんだろう。
やっと彼女の手があたしの体に触れた。
足はもう空中に投げ出され 地面に立つという感覚はもうない。
フッとあたしは最後に笑う。
最後に見た空は歪んで見えた。
雲ひとつないまっさらな空であたしには不釣り合いだった。



