真夜中。ほとんどの人が安息の眠りについているであろう、静かな夜。

 静寂を引き裂く様に無機質な機械音が鳴り響く。

 一定時間鳴り響くとそれは微かな光を残し、再び漆黒の闇と静寂が辺りを包む。

 しかしそれも束の間、ある男の手により闇の中に一筋の光が放ち出される。

「…………またか……」

 暗闇の中、男は一言呟き無機質な騒音を発していた冷たいそれを耳にあてがう。

『……ない……で…………け……』

 時折聞こえる言葉ともつかない様な“言葉”。喩えるなら周波数があわない通信機から発せられる様な、不快なノイズが頭に響く。