「もしもーし。」
『もしもーしじゃないわよ!
なにのんきに朝帰りしようと思ってるわけ!?
久しぶりに家に行ったら、誰もいなくて驚いたわ…。』
お、女の人の声だ。
「んだよ、今更。
朝帰りとか前までしょっちゅうだったじゃねぇかよ。」
しょっちゅうあったんだ…。
『あんたねぇ、開き直るのいい加減にしなさい!
それと今あんたがお世話になってるとこの家の前に車停めてるから。
早く出てきなさいよ!』
す、すごい声量…。
全部丸聞こえだ。
「朝っぱらからあいつの顔見るとか最悪だわ…。」
そう言って、ケータイの画面を見つめる。
「大丈夫?」
「ん、たぶんな。」
ピンポーン
誰だろ、こんな朝早くに?
「はーい!」
私がドアに手をかけた時だった。
「やめろ!」
悠星くんが、私を引っ張る。
ガチャ
「あ。」
「げ。」
「…。」
そこには無言で立っている女の人がいた。