「もう着いちったな」 「…うん」 「んじゃあな」 そう言い、凜は行ってしまった。 「はぁ…」 あっというまに遠くなった凜の背中に、ため息がもれる。 まだ6時だというのに、寒い4月のはじめ。 「また会えるかな…」 凜は、どれだけ馬鹿猿でもどれだけ意地悪でも"先輩"だ。 会おうとすれば会える。 だけど、なぜか気が引ける。 新学期がはじまればきっと会える。 きっと、会える。