6月の花婿にさよならを[短編]




たっぷり泣いた後、時間をかけて駅に着いた私は、腫れた瞼が落ち着くのを待ってから電車に乗り込み、家に帰ってきた。



玄関のドアを開けると、ちょうど夕飯を作り終えたお母さんが、エプロン姿で私を出迎える。



「結羽、お帰りっ!爽太君の所に行ってたのよね?」



もう聞いた?と興奮した様子のお母さん。



私は胸の奥からぐっと込み上げてくる感情を押し殺して、「結婚するんだってね」と笑って返した。



「そうなのよー、さっき爽太君ママから聞いて、驚いちゃった。

相手はね、爽太君より2つ年上の、すごく綺麗な人だって!」



「へえ、そうなんだ?」



私は靴を脱ぎながら、平然を装った声で返した。



でも俯いている表情は、自分でも分かるくらい強ばっている。



…爽ちゃんより2つ年上の、24歳。



私より、6歳も上の人と結婚するんだ。