「爽ちゃん、私、もう帰るね」
私はそれ以上幸せそうな爽ちゃんを見ていたくなくて、あまり進んでいないレポートを早々とバッグに仕舞いこみ、家に帰ることにした。
「なに、もう帰んのか?アイス奢ってやろうと思ってたのに…。」
爽ちゃんは少し驚いた様子だ。
いつもなら爽ちゃんに「そろそろ帰りな〜」と言われるまでのんびりするし、アイスを奢ってもらうとなったら真っ先に食いつく私だけど、今日は首を横に振って断った。
「珍しいな…じゃあ、駅まで送ってってやろうか?」
ここから駅までは、徒歩15分ほどだ。
彼の通う大学に近かった爽ちゃんの最寄駅から、私の家までは1時間以上かかる。
「いや、大丈夫。気にしないで?」
早口で言ったその言葉で、妙に突っぱねる雰囲気を出してしまった私。
そんな私に対して、爽ちゃんはそれ以上しつこくしなかった。

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