「…結羽?」
ふと、大好きな声に名前を呼ばれる。
ゆっくりと振り返るとそこには、白いタキシードに身を包んだ花婿がいた。
「こんな所で結羽、1人で何してたんだよ。」
言いながら近づいてきて、私の横に並ぶ。
そして私がそうしているように海を眺めて、「綺麗なところだよな」と呟いた。
「…あ、桃のジュースとか向こうに置いてあるけど、飲まなくていいのか?」
真面目くさった表情でそう続ける爽ちゃんに、思わず笑みがこぼれる。
「ちょっと爽ちゃん、子供扱い?」
軽口を叩きつつ、今はいいよ、と首を横に振った。
「…爽ちゃんこそ、主役なのにどうしてここに?」
私の問いに、今度は爽ちゃんが苦笑する番だ。
「いやー、恵の準備に時間がかかるから、てきとーに時間潰しとけって言われちゃってさ。」
どこか楽しそうに肩をすくめる爽ちゃんの横顔は、幸せに満ちている。
私はまだその笑顔を見ると、少し切なくなってしまうんだ。

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