6月の花婿にさよならを[短編]




「恵さんは、雑誌の編集者をしてるの?

そんなに綺麗なんだから、自分がモデルになれそうなのに…」



「あはは、ありがとうございます。
でもそんなことないですよ。

あんな風に華やかな世界、私の性分に合わなさそうですし…」



「結婚式は、身内だけでやるのか?」



「うん、俺や恵の友達には披露宴って形で、後日やることにしてるよ。」



「いいわねぇ、恵さんのドレス姿、さぞかし綺麗でしょうに…」



お母さんとお父さん、爽ちゃんと恵さんの会話が弾んでいくのを、私はなんとなく聞いていた。



恵さんは見れば見るほど綺麗で、話せば話すほど知性的な人のように感じられる。



澄んだ声は柔らかで、笑顔も花が咲くみたいに可愛くて…本当に、魅力的な人だ。



そして、恵さんの話や結婚式の話をする時の爽ちゃんの、大好きな写真に没頭する時みたいにキラキラとした表情。



恵さんのことが大好きで、恵さんの爽ちゃんへの微笑みも恋をしていて、2人が幸せなことは一目瞭然だった。