爽ちゃんから結婚の報告を受けてから、私は爽ちゃんの家に遊びに行くのをやめた。
爽ちゃんは爽ちゃんで忙しいみたいで、連絡は来ないし送らない。
私だけがどんどん遠くなっていく距離を感じていて、時間はあっという間に過ぎ、結婚式の日がもうすぐそこに迫ってきた。
その日は日曜日で、朝から雨。
休日だからと昼までゴロゴロしていた私を、お母さんが1階から呼んだ。
「結羽ー、爽太君と恵さんが挨拶に来てるから降りてきてー!」
「分かった、着替えたら行く!」
咄嗟に返事をしたものの、爽ちゃんとも恵さんとも会いたくない、と思った。
だって爽ちゃんはきっといつものように「おう、結羽!」って明るくて、お母さんは2人の成り行きとか結婚式の予定とか、そういう話を聞きたがる。
大好きな爽ちゃんが大好きな女の人と、そんな空間に居なきゃいけないなんて…そんなの、嫌だ。
そう思ったけれどその一方で、恵さんに、礼儀がないとか我が儘だとか、少しでも思われたらそれも嫌だっていう自分もいる。
結局私はモタモタと部屋着から着替えて髪を整え、みんなが集まっているリビングへ向かった。

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