「昨日はごめん」

 尊は僕が起きる前に起きてて、僕が起き上がったときに謝った。

「ううん」

 やっぱり本気じゃないよね。

「嫌だったろ?馨泣いてたし」

「自分でもわかんない」

 尊が僕の隣に座って僕の頭を撫でる。

「早く着替えろ」

「なんで?」

 パジャマのまま朝食をとろうとしていた僕は尊に聞いた。

「そのパジャマ親父のサイズだから馨にはでかいんだよ」

「うん」

「あと…鎖骨…見えてるし」

「え?」

 それって…嫉妬?

「なんでもいいから、他のやつにそんな姿見せんじゃねえよ」

 昨日の夜、お父さんに見られて抱きしめられたこと言ったら、尊は怒るかな。

「あと…いや…なんでもない」

 尊は何かを言いかけてから、僕を引き寄せて、甘いキスをした。

「…甘い」

 たぶん僕が寝てる間にチョコレート食べてたんだ。

「一時的な感情じゃないからな?」

「…うん」

 尊はもう一度キスをして部屋のドアを開けた。

「あと、親父には近づくなよ」

 そう言って部屋から出た。