「だから、たぶん、俺もお前のこと好きなんだと思う」

「うん……え?」

 尊の言葉に驚いて思わず聞き返す。

「それ本気で言ってるの?」

「うん」

「いや、たぶん空気に呑まれてるだけだよ、冷静になって」

「俺は冷静だよ」

 尊は立ち上がって僕を抱きしめた。

「嬉しいけど…もっとじっくり考えて…たぶん、尊のは僕とは違う感情だよ」

 自分でもどうしてこんなに突き放してるのかわからないけど、なぜか尊の言葉が受け入れられない。

「じゃあ、ひと時の感情でいいから、馨を抱いてもいいか?」

「ダメだよ、女の子との経験もないくせに」

「最初が異性である必要なんてないだろ」

 そう言って尊は僕の唇にキスをした。

 さっきとは違う、甘くて深いキス。

「ん…ダメだよ…」

 嬉しいはずなのに、なぜか涙が出てくる。

「涙目やめろよ」

「ごめん…」

「すごい、そそられる」

 尊が僕を押し倒して、何度も何度もキスをする。

「みこ…やめ…」

 キスの合間に止めようするが、すぐにまた口を塞がれる。

 僕が尊を離そうとしても、尊の力に敵うはずもなく、されるがままに僕らは結ばれた。