「へ?俺?だって、俺、男だぞ?」

「わかってるよ…だから隠してたんじゃん、ずっと」

「だって、俺、ずっと、女かと思って…」

「僕、一度も女の子なんて言ってないよ」

「あ、ああ、そうだったっけ」

 尊の目が泳ぐ。

「気付いてなかったの?」

「うん…全然」

「僕はてっきりもうバレてるのかと…」

 尊は布団から出てクッションに座った。

「なんか、ごめん、勝手に勘違いして逆上してたわ」

「うん…僕も悪いから…」

 僕ははだけたパジャマを直して、ベッドの上で正座した。

「俺のこと好きって本当なのか?」

「…うん…ごめんね、気持ち悪いよね」

「いや…なんていうか…驚いた」

「気遣わなくていいよ…もういいから…」

 もう今までの関係じゃなくなるのは目に見えてるから、なんなら突き放してくれた方がありがたい。

「いや…その…俺さ、お前が好きな人いるって知ったときすげえショックで、女の子から告白されてんの見たときもなんかイラついたし、親父に抱きつかれてんのは耐えられなかった」

 尊の言葉がすごく嬉しい。たとえ気を遣ってるのだとしても。