【短編】はくだく【BL】


「例の好きな人からはチョコ貰えたのか?」

 帰りに自転車を漕ぎながら尊が聞いた。

「え…ああ…いや…」

「バレンタインの前にくれってちゃんと伝えたか?」

「まさか。言っても絶対くれないし、いいんだよ、別にそんなの」

 尊は料理下手だし、そもそもくれなんて言ったら僕が終わるし。

「ちゃんと言わなきゃ伝わるもんも伝わらねえだろ。馨はイケメンでスタイルよくて頭よくて性格もいいんだから、言えばすぐ結ばれるって」

「だから言ったでしょ、絶対無理な相手なんだよ、だからいいの」

 実際、尊の素直な褒め言葉が僕へのバレンタインだからもう満足してる。

「そうやって、告白しないまま終わらすのか?」

 尊の言葉が僕の心に突き刺さった。

 このまま終わらす…尊への想いを伝えずに。でもそれもありだと思う。

 今の関係のまま、このままずっと一緒に居られるのなら、それが誰も傷つかない最良の道だと思う。