私が聞くと
ミレアくんは少しだけ顔をこちらに向けた。
「お前……知らずに付いて来てたのかよ。
マーモンの城では、毎日のように死んだ子供を使って人体実験を繰り返してるって話だぜ。
頭のおかしくなった子供がそのままゾンビに
なってるんだ」
考えただけでも気持ち悪い、と
ミレアくんは身震いした。
「あのねー。確かに実験体にされるけど、
ゾンビになった子が全員おかしいってわけでもないんだからね?元は人間だし」
横からジュリーちゃんのきつめの声がした。
ミレアくんは何かとゾンビを毛嫌いしてる
みたいだけど、私は割と大丈夫だ。
この世界に来るまではゾンビってもっと
腐ってて、変な呻き声を上げて無差別に襲ってくるんだと思ってたけど。
死臭もしないし、サキハラくんたちはさておきジュリーちゃんは良い子だし、普通の女の子と何ら変わりないから。
そういえば、死んだら皆ゾンビになるのかな。
天国とか生まれ変わったりとかじゃなくて。
もしそうなら、何だかあまり歓迎できない未来だ。
そんなことを考えていると、またマリーちゃんが説明してくれた。
「生前悪いことをした未成年は死後、天国にも地獄にも行けないからフランケンシュタイン博士がゾンビとして生き返らせてるのよ!
真っ更な心で頑張りなさいって。人間でいう
少年法みたいな感じかな~」
「へえ……すごいんだね、フランケンシュタイン博士」
「でも、マーモン様と仲良くなってからは
ほとんど実験体とか奴隷のためだけにゾンビの子たちを利用してるんだ。中には何も悪いことしてない子供を攫ってゾンビにしてるなんて
噂もあるんだよ~っ!怖いよねっ!」
確かに怖いけど、マリーちゃんの
怖いよねっ!という言い方が全然怖がってないように聞こえるのは気のせいでしょうか。
とりあえずミレアくんがオープンなビビりだということは何となく分かった。
フランケンシュタイン博士ってやっぱり
大柄で怪力で頭にネジが刺さってて、
フンガー!しか喋れないのだろうか。
もしそうなら意思疎通はどうしてるんだろう。
マーモンは話を聞く限り科学者っぽいから
白衣を着て眼鏡をかけた、痩せ細ったおじさんだったりするのだろうか。
または白衣が似合う黒髪のお兄さんだったり
するのだろうか。色気があって性格はドS
だったりするのだろうか。
個人的には後者だと嬉しいです。
そんな人が保健室の先生だったらいいなと何度
妄想したことか。
「おーい、大丈夫?」
リルガくんが私の顔の前で手を振った。
はっと我に返り
人にはとても言いづらい妄想を繰り広げていた私はそのことが悟られないように、
凛々しい表情を作ったつもりだった。
「どうしたの、その顔。普段そんなに笑わないけどちょっと嬉しいことがあって笑おうとしてるけど笑みが引きつってるモアイみたいな
顔してるけど」
「それ普通にモアイみたいって言えばいいんじゃないの?!」
「あはは、ごめんね。そろそろ外に出れる
よって言おうと思って」
気付けば私たちの目の前には
月の光に照らされる
広大な砂漠が広がっていた。
