校長先生はほっほっほ、なんていうおじいちゃんキャラにありがちな笑い声をもらし、私の名前を呼んだ。
「ミライよ。今日から寮に入って
他の生徒たちと共に学園生活をおくってもらうにあたって、お前さんの担任の先生を
紹介しよう」
「担任の先生? 」
私が部屋の中をきょろきょろしていると、
校長先生はドアの外に向かって誰かの名前を呼んだ。
するとドアが開き、一人の先生らしきひとが
入ってきた。
「お呼びでしょうか……バエル校長」
その低く落ち着いた声でそう言って、露出度の高い和服に身を包んだその人は校長先生に丁寧な一礼をしたあと、私の方を見た。
長い黒髪を大きなかんざしで結い、右眼には
眼帯を付けている。
分厚い本を持っていて、その白い手はとても
細い。
顔立ちや身のこなしからして、女の人だろうか。
「あなたがミライさんですね。一年D組担任の
ダンタリオンと申します。以後、お見知りおきを……あ、リオン先生と呼んで頂けたら
恐縮でございます」
淡々とした喋り方で、低い声だ。
やっぱり男の人だろうか。
「自分は性別は男だと思うのですが見た目の概念はございません。ので、自分の姿を老若男女、自在に変えることができるのです」
ダンタリオン先生……リオン先生は、話しながら見た目を老若男女、くるくると変わり出す。
私は感心して拍手した。
というかこの先生、何も言ってないのに
答えてくれたんだけど……。
そんなことを考えていると、簡単なことですとリオン先生が元の姿に戻って言った。
「自分は人の心が読めたりします。なので
あなたの個人情報は既にすっけすけの丸裸
でございます」
「それプライバシーの侵害っていうんですよ?! 」
悪い人じゃ無さそうなんだけど、やっぱり悪魔だから人間の常識とは違うのかな。
若干 天然そうだし。
「天然……だとするとバエル校長は養殖ということでしょうか」
無表情のまま首を傾げるリオン先生に、
校長先生が思わずツッコミを入れる。
「収集が付かなくなりそうだから話を進めてもよいかのう?! ……このとおり、変わった奴だが優れた悪魔じゃ。お前さんの力になって
くれるだろう」
すごい、悪魔によるボケとツッコミをこの目で見た。
一人で感心していると、校長先生が私の肩を
つついた。
「先生と同じくらい、クラスメイトたちも
お前さんからしたら変人ぞろいじゃ。
……探しとるものも見つかるかもしれんな」
「え……? 」
「最後のは独りごとじゃよ……ダンタリオン!
ミライを教室まで案内してやるのじゃ」
校長先生はそう言って私の背中を優しく押して
、ウインクした。
