ワンダーランドと春の雪






もうどうにでもなれと玉座の後ろから
三人の前に躍り出て、ピストルを構える。





「えへへえ、自分から出てくるなんて、
素直な野菜ちゃんやで……」



ちょうどサキハラがいる場所に
外の太陽の光が差し込み、そこに一人の中学生くらいの男の子の姿が浮かび上がった。







「来ないで……!撃つよ?!」




声が震えた。


サキハラは両手に、血のついた包丁と
金槌を握っている。

着ているツナギのような服には、
赤い塗料のようなものが全体にべっとりと
ついていた。

何だかまるで、人を殺した後みたい。





「えへへへ。ボクたちに銃を向けるなんて
きみ、ゾンビを知らないね? それとも、
ボクのことを知らないのかなあ? 」


そう言って

彼はまた、えへへという不気味な笑い声を上げる。





「ゾンビ?!……ていうか私、魔女じゃないし!
人間だし!殺す必要ないと思うんだけど?!」


「それがあるんだよ……えへへ。
ボクたちは玉ねぎと同じくらい人間が大嫌いなんや。醜い野菜共には、死をもって制裁を。ってこと」

「ノーノー!オニオンがキライなのは
Mrサキハラー!ユーだけよー!!」



サキハラは

銃を向けられているにも関わらず、
何のためらいもなく

ぺたぺたと私の方へ歩いてくる。






「さあ、大人しくボクに切り刻まれろ!!」