佐野君には先に帰ってもらった。






「久しぶり。陸。」

声が震える。

「あぁ、…久しぶり。」

「どこ、行ってたの?」

「父親の転勤が決まって、違う県に行ってたんだ。」

「いつ、帰ってきたの?」

「2日くらい、前かな。」

「なんで、言ってくれなかったの?」


「それは…。」


私達の親どうしは仲が良かったのに。
…もしかして、私だけ知らなかったの?

なんて、そんなこと考えていたら、



「…穂佳。」