「――……アルの家は、もうすぐなの…?」

しばらく歩いているとルナが問いかけてきた。

「そうだよ。ホラ、見えてきた。」
目の前まで迫った自分の家を指差しながら答える。

「……わぁ!」
ルナは僕の家を見ると小さく歓声をあげた。

赤い屋根にレンガ造りの家。
僕の家はおとぎ話に出てくるような、そんな造りだった。
確かに女の子が憧れる様な家かもしれない。

――僕らはしばらくの間、絵本を読んだり、近くの草原で昆虫を捕まえたり、向日葵畑でお昼ごはんを食べたりして、ゆっくり穏やかな時間を過ごした。

「……なんだか潮の香りがするね……」
向日葵畑で仰向けになっているとルナが唐突に口を開いた。

「僕の家の裏を抜けると浜辺があるんだよ」
僕がそう言うとルナは目を輝かせた。

行きたいのかな……?

「行く?」
僕がそう言うとルナは満面の笑みで頷いた。