「――ルナー、荷物降ろしてー!」
後部座席で昔の思い出に浸っていた私にお母さんが声をかけてきた。

今日からここに住む。
アルと出会ったこの街で。

アルは私のことを覚えているのだろうか。
もう一度アルに会いたい。
忘れていてもいい。

荷物を運び終え、部屋の片付けも終わった翌日、私は早朝から家を抜け出した。
森の中をどんどん進んでく私。

――でも、私の家の場所からあの開けたところにいく道なんて分かるはずも無く。
……私は迷子になってしまった。

ふらふらになりながらも足を進める私。

そして、辿り着いた。

安心してその場に腰を下ろす。
……アル、ここにこないかな……。
相思った矢先、背後で足音がするのに気がついた。

振り返らなくなって、アルだと思った。
私は満面の笑みでアルに声をかけた。

「久しぶり」