数年前、私はアルの住む街に遊びに来ていた。
自然豊かなこの街が私はすぐに気に入った。

お母さんとお父さんが話している間、私はこっそり抜け出して、森のほうに進んでいった。

空気もおいしく、夏を感じさせない環境。
見たことも無いような草花。
どんどん興味をそそられ、ぐんぐん進んでいった私は、迷子になってしまった。

『迷子?』

そう言ってないてる私に声をかけてくれたアル。
最初は驚いたけど、すぐに打ち解けられたんじゃないかなって私は思ってる。

アルが浜辺に連れて行ってくれたとき、見覚えのある景色だと思った。
この道を通っていけば帰れることに気がついた。

日も暮れ始めている。
本当はもっと遊んでいたいけど、帰らなきゃ。

帰り際、アルは私の居所を尋ねた。
けれど、私は答えられなかった。
住む所を転々と変えている私達家族の場所を教えても仕方なかった。