着ていたパーカを脱いで咲にかけると、間髪入れずに高平のみぞおちを殴った。
無防備にそれをくらった高平は一瞬息が止まりその場に膝をつく。
慧は素早く高平の腕を掴むと、たった今咲からはずした手錠を備え付けのデスクの脚と、高平の左腕にはめた。
「どう、いう・・つもり?」
咳き込みながら、高平が言う。
慧は答えず、高平のジャケットのポケットを探る。
目当てのスマホがあった。
ライブラリを確認すると、予測していたものがある。
咲を写した写真と動画。
下着姿のものもある。
慧はとりあえずそれら全てを消去した。
「これ、防水じゃないよな」
慧はそう言うと寝室から続きになっているパウダールームへ向かう。
「まてよ!!」
寝室から高平の声が聞こえるが、慧は構わずトイレに携帯を落とした。
寝室に戻ると、高平は忌々しげに慧を見上げたが、無視して咲の元へ向かう。
上半身を起こして、かけていたパーカを着せる。
咲は小さくうめいたが、目を覚まさない。
「おまえさ・・・・」
背後から高平の声がする。
「やっぱ慣れてるよな。こういの」
慧は不信に思って聞き返す。
「こういうの?」
「こういうプレイがさ」
高平は自分の左腕を軽く持ち上げた。
「あ、それともこういうプレイがお好みなのってあの下品なメンヘラ女のほうか」
「・・・あの写真姫華に見せたのって、やっぱお前だったんだな」
「あいつ、頭おかしいよ。これだって、考えたのあの女だしね」
「・・・・鍵、リビングのテーブルに置いとく」
慧はそう言うと咲を抱き上げ、部屋を出た。
