「白河・・・・」

慧がここに来るとは一切考えていなかっただろう高平は、無防備にドアを開けた。

一瞬、驚いた顔。

慧はその隙を逃さず身体をドアの中に入れた。


高平を押しのけ、リビングのドアを開ける。

そして迷わずリビングの奥の寝室のドアを開けた。


(知っている、この部屋の間取りなら)


そこにはおもちゃの手錠をはめられた咲がベッドに寝ていた。

スカートははいているが、上半身は下着しか身につけていない。

ベッドの下に、鋏で切られたようなカットソーが落ちていた。


目の前が赤くなったかと思う程の怒り。

産まれて初めてだった。



「先生!」


慧は咲に強い調子で呼びかけるが、返事は無い。

頬に手をやる。

温かい体温。


むき出しの肩をゆする。


「先生・・」


それでも咲は目を覚まさない。

慧はスマホを取り出した。


「どうするの?まさか救急車とか?」


寝室のドア口にもたれて高平が言った。