「慧!ここで私にキスして!」



「・・・は?」


「キスしてよ!今、ココで!!」


「・・・・何言って・・・・・」


「お願い!今ここでして欲しいの!」


興奮している姫華の背後に、咲が立っている。


何がなんだか分からないのだろうが、

何かとんでもない事になっている気がするのか

不安げに慧へ視線をやる。



「・・・・・てか、なんで先生がここに・・・・」


「いつだってしてくれるじゃない!どうしてしてくれないの?!」


「落ち着けよ・・・・学校だぞ?」


「関係ない!!学校でキスなんて数え切れない程してるじゃん!!」


「・・・・・・・・・」


「ねえ、慧!!」





「嫌だ」



大きく見開いた瞳で慧を睨む姫華。



静かにその視線を受け止めていた慧だが

すぐに出てこない姫華の次の言葉を待たず、

集まっていた人垣を抜けて行ってしまう。



「慧!?まって!待ってよ!」




残された咲はただその場に立ち尽くしていた。