席に戻り

「ごめん、調子悪いから帰るね。」

「由里大丈夫?
ごめんね、無理させて。」

「ん、大丈夫。
じゃあね。」


春菜につれられてきて
無理矢理ここにいたけど
今つらいのは春菜のせいじゃないし
春菜も必死なんだもん。
仕方ないと思ってる。


でもやっぱり
ちゃんと断って
いつも通り啓太に会ってたら
こんなことにならなかったのかな?



とりあえず鞄を持って
何も言わずに帰るのも雰囲気悪くするだろうし…
一言声かけてくか…


「すみません、帰ります。
お金いくらですか?」

「え、由里ちゃん帰るの?」

ごめんなさい。佑真さん。
もうここにいたくないの。

「すみません、体調悪くて…
みなさんは楽しんでくださいね。
で、いくらですか?」

「金は男子で割り勘するからいいよ!
俺送っていこうか?」

どうしよう…
啓太に見せつけてやろうか…
なんてね。

「1人で帰れますから大丈夫ですよ。
ありがとう。さようなら。」



ガランとお店のドアを開け
1人無言で黙々と歩く。





なんでよりによって
あんな所で会うかなあ…

あの女の子啓太狙ってたよね?
明日には振られたりして…?


あーもー。  


流れ出てくる涙を
袖でふきながら


早く家に帰りたくて仕方なかった。




ガシッ


「…ハアッ、ハアッ。送る。」



泣いてる顔を見られないようにしなきゃ。


「なっ、なんで啓太いるの?」

「お前追いかけてきた。
足早いっつーの。
佑真がお前気に入ったらしくて
春菜?だっけ?
お前がいちばん仲良さそうに話してたから
連絡先早速聞いてたぞ。

それを阻止して
金適当に置いてきて…てしてたら
遅くなっちまった。」


グイッ。




ポスッ。




「ごめんな?
合コン今日無理矢理誘われてたんだよ。
…由里に嫌われたくなくて隠してた。

彼女いないっていったのも
雰囲気下げないためで
他人の振りしないとって。
でもそれで…由里傷つけたよな?

泣かせてごめん。」


ああ…泣いてるのはバレていたのか。
さっきまで悲しくて辛くて仕方なかったのに
今は幸せだと感じてしまっている。