「新島志帆」
それでもスルーを決め込んでいると、とっさに名前を呼ばれて肩がビクッと揺れた。
へ?
い、今、あたしの名前呼んだ?
な、なんで……?
パニックになって恐る恐る振り向く。
すると、机に頬杖をつきながら不機嫌そうにあたしを見下ろす隣の席の派手な茶髪男子と目が合った。
いかついヤンキーみたいな人。
入学式だというのに、初っぱなから制服を着崩してハデな感じ。
ーードキッ
目が合った瞬間、なぜか高鳴った鼓動。
なんでこんな人にドキッとしてんのよ、あたし。
ありえないし、あたしの一番嫌いなタイプじゃん。
それよりも、なんで
「あたしの名前を……」
知ってるわけ?



